第四紀研究
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静岡県浮島ヶ原・雌鹿塚遺跡における自然環境と人間活動の変遷
松原 彰子
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1992 年 31 巻 4 号 p. 221-227

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抄録

静岡県浮島ヶ原は駿河湾奥部に面し, 3列の海岸砂礫州が海側へ発達することに伴って, その背後に形成された低湿地である. 内陸側の2列の砂礫州は, 本地域の沈降運動のために, 低地の地下に埋没している. 最も内陸側の埋没砂礫州は, 一部微高地として認定することができ, 雌鹿塚遺跡はその上に立地している.
雌鹿塚は, 縄文時代中期から古墳時代中期まで営まれた遺跡である. 今回, 沼津市教育委員会によって, 雌鹿塚遺跡の本格的な発掘調査が行われた. その際, 埋没砂礫州の微地形, ならびに周辺の地質層序, 年代測定値, テフラ等の資料を得ることができた. さらに, 雌鹿塚遺跡周辺における自然環境の変遷と人間活動との関係について考察した結果, 浮島ヶ原への人間の進出が砂礫州の発達過程と対応すること, 火山活動や地殻変動が雌鹿塚を放棄させる原因となった可能性が大きいことが推定された.

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