第四紀研究
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宮崎平野の更新統・通山浜層の貝類群集の分布と変遷
中尾 賢一
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1993 年 32 巻 3 号 p. 157-170

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抄録

宮崎平野に分布する通山浜層 (中部更新統) の層相と分布パターンを調査し, 堆積場の位置と時間的変化を推定した. その結果, 通山浜層は海進期における谷埋め堆積物であることが明らかになった. また, 通山浜層から現地性と判断される4種類の貝類群集を識別した. Corbicula 群集は淡水が多量に流入する河口域, Crassostrea-Cerithidea 群集は干潟域, Protothaca 群集は海進が進んで島状にとり残された陸地の周辺域, Turritella-Dosinia 群集は溺れ谷内部の泥底域に分布していたと推定される. これらの貝類群集は地層の下位から上位に向かって, より海寄りに分布する群集に置き換えられている. すなわち貝類群集の変遷は, 堆積物が示す海進に伴う環境の変化と一致する. また, 貝類群集に随伴する介形虫化石相の変化も, 堆積物および貝類群集が示す古環境の変化と調和的である.

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