第四紀研究
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富士火山のテフラ層序学的噴火予測
上杉 陽
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1993 年 32 巻 5 号 p. 271-282

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抄録

テフラ層序学的データを主たる根拠として, 経験論的~帰納法的に富士火山の次期噴火を推理した. (1)1707年, 宝永大噴火以降の287年という活動静穏期・休止期は姶良丹沢火山灰(AT)降下以降の平均大噴火間隔270年をすでに超えている. 次期噴火は大規模であろう. (2)新富士火山のテフラ噴火間隔は, 山頂火口が詰まったとされる約2,200年前以降は延びる傾向にある. 次期噴火までの間隔が287年以上になっても異常ではない. (3)3,100年前以降は北西部と南東部が交互に側火山噴火の主噴火域となってきた. 次期噴火は北西側が主噴火域であろう. (4)富士火山の噴火は, 東海~南海大地震, 伊豆半島を南北に縦断する平山断層~北伊豆断層系での地震発生, 伊豆諸島北部の諸火山・箱根火山中央火口丘群の噴火と関係が深く, それらの監視は有益である.

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