第四紀研究
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水縄断層系の最近の活動について
久留米市山川町前田遺跡でのトレンチ発掘
千田 昇松村 一良寒川 旭松田 時彦
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1994 年 33 巻 4 号 p. 261-267

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抄録

福岡県久留米市で行われたこれまでの考古学的発掘により, 地割れ群や液状化の跡が数多く発見され,『日本書紀』に記述された678(天武7)年の筑紫地震による可能性が示された. 山川前田遺跡の発掘に伴うトレンチ掘削により断層露頭が現われ, そこでの多数の地割れ跡を検討した結果, 地割れは新期よりイベント1~イベント4の4回の時期 (イベント) に分けられた. それらの時期について, イベント4はAT堆積前, イベント3はAT堆積後, イベント2は(4)層の土石流堆積物の堆積前, イベント1は(2)層の遺物包含層, 特に6世紀の土師器包含層以後, 13~14世紀の遺物包含層以前の時期であり, イベント1を7世紀後半の678(天武7)年筑紫地震によると考えることに矛盾はない. また, この地点での地割れは地震活動に伴うもので, 水縄断層系・追分断層の活動による可能性が大きいと考えられる. したがって, AT堆積 (約2.5万年前) 以後に水縄断層系の活動による3回の地震があり, それにより地割れが発生したことになる.

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