1995 年 34 巻 3 号 p. 129-134
同一遺構から得られた複数試料の年代測定値の平均化および高精度14C樹輪補正曲線を使用した14Cウイグル・マッチングは,条件さえうまくあえば,高精度で年代を決定するための有効な手段となる.このことを筆者が北アメリカ南西部および西日本の遺跡から採取した遺物を用いて行った研究例で示す.ここで示した10年単位の14Cウイグル・マッチングは,試料木材が大量に必要なこと,試料の調製・測定に相当な時間と労力がかかること,試料木材の年代によっては測定ができない場合があること等の問題がある.これらの問題の解決策のひとつとして,炭素ないし酸素の安定同位体比を用いた1年単位のウイグル・マッチングの可能性についても述べる.