第四紀研究
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熱ルミネッセンス年代測定
特に石英による火山岩類の測定精度について
高島 勲
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1995 年 34 巻 3 号 p. 209-220

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抄録

熱ルミネッセンス(TL)年代測定の最近の研究動向を紹介し,火山岩中の石英による測定法と年代精度にかかわる項目を解説した.測定法では,赤色発光の利用,生長曲線によるパレオドースの決定,人工照射と天然TLの関係を議論した.年間線量評価では,元素分析と放射線現地計測を比較し,元素分析値から年間線量を算出する場合の水分量,元素移動,宇宙線量を見積もる方法を示した.同一地層についてのほかの手法による年代データとの比較から,TL法は数千年から百万年までの年代範囲を20%程度の精度で求められることを明らかにした.誤差要因が多いことから,TL法を精密年代決定法として利用することは困難であるが,注意深い実験で10%以内の誤差におさめることは可能である.TL法の利点は,測定が簡単で,桁違いとなるような大幅誤差例が少ないことであり,第四紀火山の活動史復元等への利用が最適である.

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