第四紀研究
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第四紀テフラの高精度フィッション・トラック(FT)年代測定
ジルコンとガラスを用いた測定法の確立に向けて
檀原 徹
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1995 年 34 巻 3 号 p. 221-237

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抄録

フィッション・トラック(FT)法は,年代較正に関するIUGS勧告(Hurford,1990a,b)以降,年代標準試料によるゼータ較正を必要とする測定法となった.第四紀テフラのFT年代測定にはジルコンとガラスが対象とされ,ジルコンでは結晶内部面(ED1)と外部面(ED2)の測定,ガラスではITP-FT補正法が広く用いられる.ジルコンとガラスのFT年代測定について,国際レベルおよびわが国での現状と問題点をレビューした.また,年代測定手法,その信頼性および達成可能な測定精度について言及した.
おもに,ジルコンの高精度年代測定達成の条件について検討し,ゼータ較正,低い自発トラック密度の正確な測定,本質結晶の識別が前提条件となることを議論した.その結果,ジルコンの場合には,結晶外部面を用いるED2法が高精度測定に適することを結論した.この方法を用いて,日本の代表的な広域テフラ5試料の高精度年代測定を行った.

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