第四紀研究
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1995年兵庫県南部地震による西宮・大阪地域の震害と地盤構造
三田村 宗樹中川 康一升本 眞二塩野 清治吉川 周作古山 勝彦佐野 正人橋本 定樹領木 邦浩北田 奈緒子井上 直人内山 高小西 省吾宮川 ちひろ中村 正和野口 和晃Shrestha Suresh谷 保孝山口 貴行山本 裕雄
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1996 年 35 巻 3 号 p. 179-188

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抄録

1995年兵庫県南部地震は,阪神地域に甚大な被害を生じさせた.阪神地域は都市化の進んだ場所で,人工的な地形改変が多くの場所で行われている.しかし,現在の地形図上では,その箇所が不明確であるため,過去の地形図との比較から人工改変地形の抽出を行ったうえで被害分布との関連を西宮・大阪地域について検討した.大阪地域では,基盤断層の落下側に被害が集中する傾向があり,基盤構造との関連性が存在することを指摘した.これについては,既存地下地質資料をもとにした地震波線トレースのシミュレーションの結果から,地震波のフォーカシング現象がかかわっているとみている.結論として,日本の大都市の立地する地盤環境は類似し,地震災害に関して堆積盆地内の厚い第四紀層での地震動増幅,伏在断層付近でのフォーカシング,盆地内の表面波の重複反射よる長時間震動継続,表層の人工地盤や緩い未固結層の液状化など共通した特性を有していることを指摘した.

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