第四紀研究
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越後平野地下の第四系
小林 巌雄
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1996 年 35 巻 3 号 p. 191-205

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抄録

越後平野の地下に分布する第四系は,他の平野に比べて非常に厚く,その最大層厚は新潟周辺で3,500m以上に達する.これは,越後平野が沈降性堆積盆地という特異な地域的特性にかかわっていることによる.この堆積物は第四紀における日本海側の歴史の一端をきわめて良好に記録しているとみなされる.
越後平野の堆積盆は南北に長く,その堆積物は大規模な向斜構造を形成し,大きな断層帯あるいは急傾斜帯が平野の両側に沿って存在する.第四系は下位から西山層,灰爪層,未呼称中部更新統,蒲原層群,埋没段丘堆積物,西蒲原層,白根層,黒鳥層に区分される.西山層の上半部は下部更新統であり,Globorotalia inflataの層を伴う漸深海性の泥岩・砂岩からなる.灰爪層も同時代であり,Globorotalia inflataの層を伴う漸深海性の泥岩からなる.未呼称中部更新統はおもに漸深海から浅海相であり,蒲原層群は浅海性種の化石を伴うシルトと砂質礫の交互層からなる浅海ないしデルタ相である.埋没段丘堆積物は更新世後期および完新世の堆積物であり,西蒲原層は河川の礫からなる更新世最末期の堆積物である.白根層は最上部更新統~完新統であり,泥炭層を伴うシルトと砂の互層,海成シルト層などからなる.黒鳥層は完新統で,泥炭層を伴う泥・砂からなる.
ここでは,越後平野の地下の第四系の層序,古環境などについて記述する.

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