第四紀研究
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武蔵野台地北部の開析谷沿いにおける埋没地形面群
安藤 一男渡辺 満久
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1996 年 35 巻 4 号 p. 281-291

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抄録

武蔵野台地北部の開析谷~荒川低地において,ボーリング資料・14C年代測定値および珪藻群集の推移にもとづき,完新世の海進堆積物に埋積されている地形面群(立川面群)の区分・対比および編年を試みた.
本地域の埋没地形面群は,Ar0面~Ar3面に区分される.Ar0面~Ar2面は,最終氷期後半のAT火山灰降下以前に離水している.ただし,Ar0面は最終氷期後半以前に形成された武蔵野面群に対比される可能性がある.Ar3面は,最も河床高度の低下した時期に形成されているが,その時代は海面最低下期以前である.荒川低地および柳瀬川谷底平野では,海面低下にともないAr0面~Ar3面が順次形成されたが,ほかの開析谷中ではAr1面形成後に,顕著な下刻は起こっていない.これは,古多摩川の流路変遷と気候の乾燥化による流量の減少によってもたらされた可能性がある.

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