第四紀研究
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縄文時代の栽培植物
吉崎 昌一
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1997 年 36 巻 5 号 p. 343-346

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抄録

これまで,縄文文化には複数の栽培植物アサ(アサ属Cannabis),エゴマ(シソ属Perilla),ヒョウタン(ユウガオ属Lagenaria),クリ(クリ属Castanea)等の存在が知られていた.しかし,最近のフローテーション法の採用による炭化植物種子の検出,イネのプラントオパール抽出などの考古植物学的な調査によれば,縄文文化前期~中期前半の層準から東日本ではヒエ(Echinochloa)が,西日本にはイネ(Oryza sativa)が検出される.これらイネ科Gramineae植物の出現や文化的な背景には,まだ不明の部分が多い.しかし,ヒエは東日本で栽培化が行われた可能性があり,イネはアジア大陸とその周辺部から渡来してきた,と考えられる.また,縄文時代に存在するといわれていたリョクトウVigna radiata (L.) Wilczekについては,まだ確実な資料は発見されていない.

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