第四紀研究
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琉球海溝斜面から得られたピストン・コアの解析に基づく,過去6万年間にわたる海洋表層の生物生産性の変化
岡 俊太郎
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1998 年 37 巻 5 号 p. 361-370

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抄録

琉球海溝斜面から得られたピストン・コア・サンプルについて,浮遊性および底生有孔虫のδ18O,δ13C,全有機炭素含有量,有機炭素/有機窒素の元素比,炭酸塩含有量,底生有孔虫の産出量,浮遊性有孔虫の群集についての解析を行った.
酸素同位体層序および,3層準についてのAMS14C年代の測定結果から,このコアは過去約6万年間(酸素同位体ステージ3の始まりから)を連続的に記録していることが明らかである.さらに,底生有孔虫のδ13C,全有機炭素含有量,有機炭素/有機窒素の元素比の変化などから,最終氷期の間(特に酸素同位体ステージの2の間),この海域における海洋表層の生物生産性は,現在に比べ高かったことが推定される.また,浮遊性有孔虫の群集の変化から,ステージ2における生物生産性の向上は,寒冷水塊の発達に伴って起こっていたことが推測される.

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