三浦半島を横切る衣笠,北武,武山の3断層はほぼ平行して走り,いずれも第四紀後期以降には右横ずれ変位によって特色づけられている.最近のトレンチ調査やボーリング調査によって,これらの断層の完新世における活動史に関する情報が蓄積されてきた.活断層である確証がなかった衣笠断層については,完新世に繰り返し活動した活断層であることが確実となった.北武断層の最新活動期は約1,200~1,400yrs BP,武山断層のそれは2,000~2,200yrs BPで,それぞれ独自に活動した.再来間隔は,北武断層では1,500~2,500年,武山断層ではやや不規則であるが,平均約2,000年となり,いずれも次の活動に近づいている活断層である.変位地形がやや不明瞭な衣笠断層では13,000年間に2回の活動を記録しているにすぎない.どの断層も東部での変位地形が明瞭であり,東方海底に延長する可能性を示す.これらの断層は地下では,おそらく一つに収斂する断層帯を形成しているものと思われ,断層帯としての活動間隔はより短かくなるであろう.