兵庫県南部地震以降,近畿三角帯において地質調査所が調査を行った25の活断層を,松田(1990)の基準に基づいて18の起震断層に再編した.また,新たに設けた基準により,各起震断層を1~5つの活動セグメントに区分した.
活動履歴調査により明らかにされた各活動セグメントの古地震イベントと歴史地震との対応を検討した結果,1586年天正地震,1596年伏見地震などのいくつかの大規模な歴史地震は複数の活動セグメントおよび複数の起震断層の連動により引き起こされた可能性が高いことが判明した.
また,合計31の活動セグメントの地震危険度を経過時間率と地震発生確率を用いて評価した.その結果,琵琶湖西岸断層饗庭野セグメントと中央構造線和泉-金剛断層根来セグメントは,ほかの活動セグメントよりも地震危険度が高いと判断された.
このような地震危険度の評価結果と分布箇所の社会的重要性から,今後さらに詳細な調査を行うべき起震断層として,琵琶湖西岸断層,中央構造線四国断層,同和泉-金剛断層,および上町断層があげられる.