第四紀研究
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地震被害と地形・表層地質・地盤特性
“震災の帯”の中の被害差の原因について
石川 浩次細矢 卓志緒方 信一馮 少孔
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2000 年 39 巻 4 号 p. 389-400

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抄録

1995年兵庫県南部地震において六甲南山麓平地に生じた震度7(JMA)のいわゆる“震災の帯”を詳細にみると,帯の中でも家屋の倒壊のみられない震度5(JMA)から,倒壊率30%以上(震度7)に至るまでの被害差が町丁目単位ごとに複雑に変化していることがわかる.本論文は,この帯の中で生じた建築物の被害差の原因について,地形・表層地質および地盤特性が及ぼす影響について検討した.その結果,“震災の帯”の中の建築物の被害差は,工学的基盤面(N>50)から扇状地性の粗粒堆積物からなる表層地盤(N=15~40程度)に入射した地震波が,地盤の卓越周期特性ならびにインピーダンス特性に依存して,表層の中で増幅度の違いを生じたことが主原因と考察された.また,地震時に建築物と表層地盤との間に共振現象が生じた可能性が考えられた.さらに,強震動域における木造,RC造の建築物別倒壊率と地震時の最大加速度との関係を明らかにした.

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