第四紀研究
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海洋酸素同位体ステージ5-6境界に降下した飯縄上樽テフラ群とその編年学的意義
鈴木 毅彦
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2001 年 40 巻 1 号 p. 29-41

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抄録

妙高火山群の一つである飯縄火山を給源とする飯縄上樽テフラ群の記載を行い,分布・層位を示した.また,その年代と編年学的意義について論じた.同テフラ群は3枚の降下テフラ層からなり,そのうち最上位のIz-KT aが最も広く分布し,信越国境,群馬県北部,栃木県北部で見出された.Iz-KT aの認定には,斑晶鉱物組合せ,斜方輝石の形状,斜方輝石・ホルンブレンドの屈折率,チタン磁鉄鉱の主成分化学組成が指標となる.飯縄上樽テフラ群の年代を,それとの上下関係が知られているテフラ層や溶岩をもとに推定した結果,150ka以降125ka以前,すなわち海洋酸素同位体ステージ5と6の境界付近にあることが明らかにされた.本テフラは,ステージ6に形成された気候段丘の認定に役立ち,それによる内陸地域の隆起量の復元に手がかりを与える.また,火山噴火史構築の際に時間目盛りとして有効である.

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