第四紀研究
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沖積層の層相と珪藻分析からみた佐渡島国中平野の完新世後期の地形発達史
松永 敬子太田 陽子
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2001 年 40 巻 5 号 p. 355-371

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抄録

佐渡島の国中平野における沖積層の掘削調査から得たコア,および既存のコアの層相と珪藻分析,14C年代測定によって,完新世海成層の上限を認定した.真野湾側の国中平野南西部では,海成層上限高度はほぼ標高2.6m以下で,その年代は4,000~5,000yrs BPである.本地区では,それ以降に海が侵入したことはない.一方,両津湾側の北東部では,国中南断層上盤延長部での標高2~4mを除くと,同じ時代の堆積物はほぼ現海面下にあり,本地区の相対的沈降を示す.両津湾岸では,それ以降も海進と海退を繰り返したが,これはユースタティックな現象ではなく,砂州による閉塞や開口の結果現れた見かけ上のものと思われる.さらに,完新世海進高頂期以降の3時期における古地理の変化を,堆積物と考古遺跡に基づいて復元した.

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