第四紀研究
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水和の影響を除去した北海道の完新世テフラガラス屈折率
中村 有吾片山 美紀平川 一臣
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2002 年 41 巻 1 号 p. 11-22

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抄録
完新世テフラ中の火山ガラスの屈折率は,不完全な水和によって大きくばらつくことが指摘されていた.樽前aテフラ(Ta-a:西暦1739年),樽前bテフラ(Ta-b:西暦1667年),樽前cテフラ(Ta-c:約3千年前)について検討した結果,これらの火山ガラスには水和部分と未水和部分からなる二重構造が認められた.また,いずれのテフラでも,火山ガラスの屈折率はばらつきが大きく(標準偏差s=0.0033-0.0036),しかも試料ごとに測定値が異なる場合があった.このため,火山ガラス屈折率によって,完新世テフラを同定する際には注意が必要である.
不完全水和火山ガラスの脱水は,400℃で12時間加熱すること(400℃12時間法)により可能である.400℃12時間法を適用したTa-a,Ta-b,Ta-c火山ガラスの測定結果にもとづけば,脱水ガラス屈折率の最頻値は未処理の不完全水和ガラス屈折率よりも0.006~0.014低い.脱水ガラス屈折率の標準偏差はs=0.0014-0.0018であり,不完全水和ガラスのばらつきと比べて十分に小さく,脱水ガラス屈折率はテフラ同定の示標となる.完新世テフラの同定には,脱水ガラス屈折率を用いることが望ましい.
400℃12時間法を用いて,北海道の主要完新世テフラの脱水ガラス屈折率を測定した.多くのテフラは,それぞれ特徴的な値を示す.脱水ガラス屈折率に注目し,そのほかの岩石学的特徴(火山ガラス形態,重鉱物組合せなど)を補助的に測定すれば,北海道の多くの完新世テフラを同定することが可能である.
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