2002 年 41 巻 3 号 p. 185-197
越後平野北部における沖積層層序と堆積環境の変遷を解析し,縄文海進期に形成された汽水湖沼の成立過程とその変遷について検討した.その結果は以下のとおりである.(1)8,000年前以前には胎内川扇状地と加治川扇状地との間は低地であった.約8,000年前に海水準の上昇とともに,低地前面に砂州が発達し,低塩分の汽水湖沼が形成された.汽水湖沼の出口は加治川以南に求められる.(2)汽水湖沼は次第に塩分を減少していき,海水や淡水が交互に流入する時期を経て,約5,000年頃までに淡水湖化した.(3)淡水湖は約5,000年前以降に北部から埋積されたが,9世紀になって水域が拡大し,現在の塩津潟となった.