第四紀研究
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南九州に分布する最近約3万年間のテフラの年代学的研究
奥野 充
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2002 年 41 巻 4 号 p. 225-236

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抄録

南九州には,最近約3万年間に噴出したテフラが数多く分布している.これらのテフラの噴出年代の決定方法を,(a)古記録との対比,(b)暦年較正曲線での位置,(c)14C年代値の暦年較正曲線への投影,(d)層位による比例配分の4つに区分して,網羅的に整理した.広域テフラである鬼界アカホヤテフラ(K-Ah)および姶良Tnテフラ(AT)の噴出年代は,暦年較正曲線での位置から,それぞれ7.3cal ka BP,29cal ka BPと判断される.これらの噴火の前後の休止期間は1,000~3,000年程度と見積もられ,とくに長い時間間隔ではない.桜島薩摩テフラ(Sz-S/Pl4),池田湖テフラ(Ik)および霧島御池テフラ(Kr-M)は南九州に広く分布するテフラであり,層位学・編年学的に重要である.これらの噴出年代は,それぞれ約13cal ka BP,約6.4cal ka BP,約4.6cal ka BPである.K-AhとIkの時間間隙はおよそ1,000年と考えられるが,より正確に見積もるためにはIkの暦年較正曲線での位置を確定する必要がある.

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