抄録
生きている化石の宝庫として海底洞窟は1960年代より世界的に知られていたが,そこの堆積物に関する研究は行われていなかった.サンゴ礁における古環境解析のための新たなる地質記録としての有効性を検討するため,我々は沖縄県伊江島の海底洞窟(通称“大洞窟”)から堆積物のコア試料(長さ43cm)を採取した.堆積物はシルトからなり,葉理や生痕などの堆積構造は見られない.堆積物粒子は石灰質岩片を主とし,コッコリス,底生有孔虫や浮遊性有孔虫などを含む.貝化石の産状と14C年代測定の結果,コア試料は1,500年間以上の記録を有していることが分かった.また,平均堆積速度は2~4cm/100年と算出された.
以上のことから,海底洞窟堆積物はサンゴ礁の後期完新世の環境・気候変動を解明できる記録媒体として有効であるといえる.