沖縄本島北部,本部半島基部には,上部鮮新統-下部更新統の砕屑岩が分布する.本研究により,これらの堆積物は下位の礫岩を主体とする呉我層(Guga Formation)と,上位のシルト岩,砂岩,石灰質シルト岩,石灰質砂岩を主体とする仲尾次層(Nakoshi Formation)に区分された.そして,呉我層の上部と仲尾次層は,本部半島北部-西部に広く分布するサンゴ礁複合体堆積物(琉球層群)と同時異相の関係にあることが判明した.このサンゴ礁複合体堆積物および仲尾次層最下部から得られた石灰質ナンノ化石による生層序年代は1.45~1.65Maで,これまで報告されている琉球層群の中で最も古い.本部半島周辺では更新世初期に,サンゴ礁が形成されはじめ,同時に基盤地形が複雑であった半島基部では,陸源性砕屑物の堆積が活発に進行していたことが明らかとなった.これに対して,当時,島棚外縁-島棚斜面であったと想定される沖縄本島中南部ではサンゴ礁は形成されず,砂質の陸源性砕屑物および炭酸塩砕屑物の堆積が支配的であった.