完新統を貫く連続した2本のボーリングコアの49試料による高密度な14C年代測定により,濃尾平野における詳細な堆積曲線がはじめて得られた.この堆積曲線とコアの堆積相解析により,後氷期における本平野の堆積プロセスについて検討した.堆積曲線から得られた堆積速度(上方累重速度)は約1~53mm/yrであり,日本列島のデルタとしては大きい.これは,濃尾平野西部の速い沈降と,木曽川などからの大きな堆積物フラックスを反映している.内湾堆積物である中部泥層の最も内陸側に分布する地点と2本のボーリング,および現在のデルタの前縁の4地点の間の3区間でデルタの前進速度が求められた.それらは5,900~4,200cal yrs BPまでが6m/yr,4,200~2,800cal yrs BPまでが10m/yr,そして2,800cal yrs BPから現在までは5m/yrであり,大きく変化したことが明らかになった.