第四紀研究
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大阪城堀堆積物からみた過去約100年間の重金属汚染の歴史
稲野 伸哉山崎 秀夫吉川 周作
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2004 年 43 巻 4 号 p. 275-286

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抄録

本研究では,大阪城の外堀と内堀において柱状堆積物を採取し,131個の試料中の重金属元素(Pb,Cu,Zn,Ni,Cr)濃度の分析を行い,大阪城周辺における重金属汚染の歴史の解明を試みた.大阪城堀堆積物中の重金属元素濃度は,江戸時代に相当する堆積物下部で低く,1900年頃から徐々に高くなる.重金属濃度は1960年代に最大となり,現在にかけて減少傾向にある.このような変化は,明治維新以降の産業の近代化,戦後の経済復興,そして公害や環境汚染に対する法規制によると考えられる.また,大阪城外堀堆積物は,明治初期から終戦まで大阪城に隣接していた大阪砲兵工廠の影響を大きく受けていたと考えられる.

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