第四紀研究
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東京湾北部沿岸域の沖積層と堆積環境
石綿 しげ子
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2004 年 43 巻 4 号 p. 297-310

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抄録

最近の年代測定資料を含む理学分析資料と土質試験資料を用いて,東京湾北部沿岸の七号地層と有楽町層の堆積環境について検討した.古東京谷,古神田川谷,浦安谷の3つの埋没谷を対象にして,沖積層の層相,土質特性,珪藻化石群種,堆積年代などを整理し,相互の関わりから堆積環境を明らかにし,七号地層と有楽町層の地層区分の検討を行った.
七号地層の基底礫層直上には,約15,000~12,000年前に堆積した三角州性堆積物が厚く分布する.七号地層と有楽町層の境界は約12,000~11,000年前にあり,この前後の時期を挾んで堆積速度や層相変化には堆積場の急変がみられ,海面の一時的な停滞あるいは低下が示唆される.有楽町層は,層相変化,土質特性,堆積年代などの相関性から,下部は縄文海進の上昇期に,上部は縄文海進高海面期以後に対応した区分が可能である.

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