2004 年 43 巻 5 号 p. 375-382
古環境の推定手法の一つである電気伝導度法(粘土混濁水による電気伝導度・pHの測定)により,濃尾平野南部のボーリングコアの堆積環境の推定を行った.その結果,珪藻分析結果による古環境と電気伝導度値に良好な対応関係がみられ,その対応関係から淡水成・汽水成・海水成の電気伝導度値が設定できた.そして,電気伝導度の鉛直方向の変動様式から,海水準変動および堆積過程を解釈することができた.またpHは,直接には古環境を判定する指標にはならないが,電気伝導度と組み合わせることにより,堆積過程や堆積後の環境変化を考察する上で重要な指標になりうることが示唆された.