第四紀研究
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下北半島田名部平野における海成段丘構成物の形成と相対的海面変化
桑原 拓一郎
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2005 年 44 巻 3 号 p. 131-144

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抄録

青森県東部の下北半島にある田名部平野では,海成段丘の構成物が累重することによって,厚い海成更新統が形成されている.とくに,テフラとの層位関係に着目することによって,高位なもの(古いもの)から順に蒲野沢面,東栄面,樺山面,および斗南ヶ丘面と呼ぶ4つの海成段丘の構成物(蒲野沢層,東栄層,樺山層,および斗南ヶ丘層)が,本平野の海成中部~上部更新統の主体をなしていることがわかった.これら各段丘構成物は,いずれも基底の侵食谷を埋積する内湾性の砂礫~砂泥層と,それらを被覆して段丘をなす海浜平野性の砂礫層より構成され,それぞれ海進→海退という海面変化を示している.斗南ヶ丘面は酸素同位体ステージ5eの高海面期に形成された海成段丘と考えられるので,蒲野沢層,東栄層,および樺山層で示される相対的な高海面期は中期更新世に対比される.

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