2018 年 14 巻 1 号 p. 1-16
本稿では、古典的テスト理論と項目反応理論の両方の観点から、測定の標準誤差を考慮したテスト得点の段階表示の方法に関して考察した。古典的テスト理論による方法としては、テスト得点の真値の信頼区間の幅を特定の小さな値(例えば1 または2)にするような段階表示の方法を提案し、段階数の目安を、テストの信頼性係数、信頼区間の信頼係数、ならびに信頼区間の幅の関数として導いた。項目反応理論を用いた方法としては、平均的測定の標準誤差を数値的に計算することにより、古典的な方法と同様の形で、重み付き合計点ならびに特性値 θ の尺度で示される得点の段階数の目安が得られることを示した。また、真値や特性値に依存する測定の標準誤差の値を平滑化する方法を提案し、その方法を用いた際にも段階数の目安が得られることを示した。