学生相談研究
Online ISSN : 2758-0067
Print ISSN : 0914-6512
研究論文
大学生・大学院生へのメンタルヘルスケア・リテラシー向上を目標とした研修
藤野 遼平
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2024 年 44 巻 3 号 p. 174-185

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抄録

 大学生は精神疾患の好発期であり、特に大学院生においては一般の人に比べて約6 倍不安やうつを経験しているとされている。しかしながら、大学をはじめとした高等教育現場においては心理教育の場は少なく、大学生をモデルとしたメンタルヘルス研修もあまりない。そこで本研究では大学生および大学院生をモデルとした事例を作成し、実際にケア行動を生じさせるようなメンタルヘルスケア・リテラシーに焦点を当てた教育コンテンツによる研修を実施することで、有用性を検討した。結果、大学生および大学院生の双方で、受講した学生のメンタルヘルスの「自分事化」を促し、受診意図・相談意図を促進できた。しかし一方で、メンタルヘルスに問題を抱える人をサポートする役割を自分事化することは困難であったことが窺われ、支援する立場としてのリテラシーを高めるには至らなかったことも判明した。

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© 2024 一般社団法人 日本学生相談学会
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