場の科学
Online ISSN : 2434-3766
結合商標の機能的役割の再考
標識知財に関わるコミュニケーション機能の記号学的アプローチ
井手 李咲
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2021 年 1 巻 1 号 p. 74-86

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抄録

本稿では、日本と中国の事案を取りあげ、標識知財の領域における結合商標の問題点を記号学的アプローチから検討する。標識は、視覚や聴覚などにより知覚(見た目や音そのもの)する側面と、その標識により需要者へ伝えようとする意味合いの解釈(情報)という側面から機能的役割が創成される。現行商標制度の下では、標識の構成、他の登録商標との類否、及び、指定商品・役務の分類等によって、その出所表示機能が画定される。その商標の使用にあたっては、標識としての品質保証機能や広告宣伝機能等の機能的役割が組み合わされ、標識知財の情報価値が定まる。しかし、結合商標の場合、特に、機能的役割のコミュニケーション機能が適正に作動しないおそれがある。商標制度と標識認証制度等の体系的な連携が必要になるであろう。

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© 2021 協創&競争サステナビリティ学会
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