禁煙科学
Online ISSN : 1883-3926
「写真付き電子メールによる食事改善支援プログラムを用いた無作為介入試験」
海老原 泰代
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ジャーナル オープンアクセス

2012 年 vol.6 巻 03 号 p. 12

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抄録

 本論文は、電子メールを使用して食事アドバイスをすることが体重コントロールに効果があるかどうかを検証したものである。直接的に禁煙に関連した研究ではないが、体重コントロールは禁煙後の体重増加を防止するためにも重要であることから紹介する。
 インターネット禁煙マラソンでは、メールを使用して禁煙支援が成功している事例が多くある。それをヒントに筆者は非対面式のプログラムを作成した。支援期間は3ヶ月とし、食事アドバイスは電子メールに添付した食事写真を用いて管理栄養士が判断してパソコンまたは携帯メールで返答し、安全な減量についての情報の提供には郵送される冊子とダイレクトメールによる情報提供を用い、参加者同士の相互支援にはメーリングリストを用いた。
 対象は腹囲基準(男性85cm、女性90cm)以上、またはBMI25以上の39名(男性22名、女性17名)であり、対象者を性別・年齢階級で層化後、無作為に介入群と対照群の2群にわけて総摂取エネルギー量および体重の変化を検討している。3ヶ月の支援期間終了後、介入群男性では、総摂取エネルギー量が平均で427kcal(p<0.01)減少し、介 入群女性では総摂取エネルギー量が平均で747kcal(p<0.01)減少した。介入群の平均体重は男性3.4kg、女性1.3kg減少したが対照群との有意差は認められなかった。介入群女性では空腹時血糖が4.5mg/dl(p<0.05)減少したとのことであった。
 本論文では以上のように、今回作成した3ヶ月間の電子メールを用いた食事改善支援プログラムで男性女性ともに介入群で総摂取エネルギー量の有意な減少が認められたことが述べられている。しかしながら解析人数が各群10名と少ないことや、血圧、血清脂質および空腹時血糖で受診勧奨域にある者は対象としなかったなど健常者を対象とした介入であったことが研究限界として論文中に示されている。今後はさらに有用なプログラムの開発と対象の範囲を広げての検討が期待される。

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© 2012 日本禁煙科学会
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