禁煙科学
Online ISSN : 1883-3926
中学生に対する音声とプリントによる受動喫煙防止教育 取り組み方と印象に残ったテーマの選択における家族喫煙者の影響
鈴木 修一
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2012 年 vol.6 巻 05 号 p. 1-7

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抄録

要 旨
背景と目的:受動喫煙防止教育の試みとして、中学生を対象とする音声とプリントによる教材を作成した。この研究は、家族の喫煙者数により生徒の取り組み方や印象に残ったテーマが異なるかを明らかにするために行った。
方法:四街道市立中学2校において受動喫煙防止教育を行った。教育は10テーマより構成され、各テーマ10分間で行った。各テーマには音声とプリント教材と、復習問題、エッセーを盛り込んだ。全教育終了後、1,2年生に対して放送音声とプリントのわかりやすさ、問題の難易度、エッセーを読んだ頻度、印象に残ったテーマ、家族の喫煙者数を尋ねた。
結果:825人の生徒のうち、723人(87.6%)より回答を得た。家族喫煙者数0人の生徒は365名、1人は249名、2人以上は109名だった。生徒は家族喫煙者数が多いほど問題の量が多くて難しいと感じ、エッセーを読む頻度が低かった。印象に残ったテーマとして選択された教育項目は平均4.1(95%信頼区間3.9 - 4.3)であり、家族喫煙者数による差異はなかった。「能動喫煙の影響」、「ニコチン依存について」、「禁煙の方法」の選択率は、家族喫煙者数が多いほど高率となった。「たばこ会社の販売戦略」の選択率は、家族喫煙者0人の群において他の2群よりも高率だった。また、家族喫煙者数によらず、過半数の生徒が「小児における受動喫煙の影響」、「たばこの販売理由」を印象に残ったテーマとして選択した。
結論:これらの結果は、教材の取り組みやすさや、印象に残るテーマは家族の喫煙者数により異なることを示唆している。今回の知見を喫煙に関する教育に取り入れることで、中学生に対しより効果的な受動喫煙防止教育を行うことができると考えられる。

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© 2012 日本禁煙科学会
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