上水の供給は、水源から受益者(住民や企業)に届くまでの間、複数の管轄に分かれて管理されており、平時でも全体像の把握は難しい。南海トラフ地震のような広域大規模災害時において、管轄を超えた連携を行うためには事前の検討が必要であるが、現状は基本的な情報共有も十分とはいえない。そこで、愛知県西三河地域の上水道の供給経路についてグラフ化を行い、上位管理者も交えた、災害時の連携を検討する継続的な議論の場に適用した。その結果、連携の具体案が示され、前年度との比較から、①テーマの継続性②上位管理者との対話③グラフ化の取組みによる連携対象の可視化の3点が、地域連携策の具体化に有用であると認められた。また、より実効性のある連携策の検討場面への適用を念頭に、供給割合(量)を考慮したグラフの別図に対して、自治体の防災担当者から、連携に向けた基礎資料となり得ることが示された。一方、想定される災害時の上水の供給状況なども踏まえた情報提示が必要など、情報提示のあり方としての改善点も提示された。