日本音響学会誌
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超音波顕微鏡による生体組織の音響特性測定 : 多重反射と粘性の効果
明石 尚之櫛引 淳一中鉢 憲賢
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1989 年 45 巻 10 号 p. 767-775

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抄録

超音波顕微鏡を用いた生体組織の音響特性の測定において問題となる、生体試料内の音響的多重反射の影響、及び生体組織の粘性の影響について、Voigtモデルに基づいて理論的検討を行った。集束超音波の焦点近傍におけるふるまいを平面波で近似し、平面波モデルを用いて検討を進めた。多重反射については、最も振幅の大きい2〜3番目までの多重反射を考慮すれば十分である。また、粘性については、超音波顕微鏡が用いられる超高周波帯において、その効果を十分考慮に入れる必要のあることを示した。生体試料の反射係数の周波数特性から音速、減衰、密度を決定する方法を提案し、試料として寒天、高分子材料を取り上げて、40〜350MHzの周波数帯で本測定法を実験的に検証した。

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© 1989 一般社団法人 日本音響学会
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