1990 年 46 巻 12 号 p. 970-973
従来の超音波計測法では扱いにくい、1mm以下の薄板をバッファ・ロッドを介さず、直接、振動子をあてて超音波計測できることは有益である。本論文は、薄板試料に超音波を送り、その厚み共振を検出することで、板の厚さの微小変化や厚さの測定を行う方法について述べたものである。実験にはPDVF振動子を用い、一振動子反射法の測定システムを試作して測定を行った。結果は、板の厚さの微小変化を0.1μmの高精度で、再現性よく測定できた。この方法は、工業的な厚さ計測への応用だけでなく、音速や音速の微小変化の計測も可能で、物性や材料研究用の超音波スペクトロスコピー技術としても有効な方法と考える。