1990 年 46 巻 5 号 p. 369-375
空気流の速度と湿度をほぼ一定とし、その温度が3〜48℃の範囲での空気流乾燥と音波乾燥(定在波音場内)の実験を行い、同じ大きさの恒率乾燥速度を得るときの両者の乾燥室内の空気流温度とエネルギー密度を比較したところ、後者の温度は前者に比べて相対的に低く、しかも粒子速度が大きいほど低くなること、またエネルギー密度に関しても後者は相対的に小さく、しかも空気流温度が低いほど小さくなることが分かった。更に、低温度から常温度(3〜25℃)の温度範囲の空気流を併用した音波乾燥での恒率乾燥速度の大きさから、音波による試料表層の水分の表面温度の上昇を試算した結果、これがほぼ音波のエネルギー密度に比例することが分かり、これらから恒率乾燥機構を定量的に検討した。