1991 年 47 巻 12 号 p. 948-950
本論文では、超音波領域で有効に使用できる乗算型高周波電力計の概要と特性について報告する。この電力計は電子回路において、電力が電圧、電流及びその力率の積で表わされることに注目して設計されている。この電力計を使うことによって、従来の超音波電力計では測定の困難であった高インピーダンスの負荷、例えば10kΩのインピーダンスを持つ負荷に1kWの電力を与えた場合、端子電圧は約2kVの高電圧となるが、このような負荷に対しても有用であり、しかも10MHzまでの高い周波数領域まで測定可能となった。また、力率を考慮に入れたため、歪波や力率の悪い信号に対しても使用可能である。更に、電圧、電流プローブに改良を加えることによって、測定時に負荷の回路を切断することなく電力の測定ができる。