日本音響学会誌
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確率分布情報の時間的推移として捉えた残響過程の一研究 : 理論の設立と一実験
太田 光雄中迫 昇畠山 一達
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1991 年 47 巻 9 号 p. 639-646

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抄録

前報告では、刻々の残響過程においてエネルギーの統計的な揺らぎ形態が特に個々のモーメント情報に中心をおいて時間と共にいかに推移してゆくかを考察した。前報告とは異なり、本報告ではまず、計測の実際と現実の揺らぎの複雑さに対応できる離散型の一般化Fokker-Planck方程式を導出し、残響室における残響曲線の揺らぎ分布全体に関する過渡的推移表現をSabineの残響則を反映した逐次形式の形で新たに導出する。具体化にあたっては、エネルギー変量における物理的対策の足場と評価におけるdB観測に整合できるよう、この確率分布の推移法則における初期分布の枠組として、特に対数正規分布を初項に持つ一般的な展開分布表示を採用している。最後に、残響室内における実測例に適用して本手法の有効性を実験的にも検証している。

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© 1991 一般社団法人 日本音響学会
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