日本音響学会誌
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植樹帯による減音効果(第2報) : 幼木を用いた縮尺模型実験
鹿島 教昭田村 明弘
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1993 年 49 巻 10 号 p. 711-720

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抄録

無響室内において、幼木から成る縮尺1/10の植樹帯模型を完全反射性の模型地表面上に設け、樹高(0.11, 0.22, 0.33m)、幅(0.15, 0.3, 0.6m)及び植栽密度(1, 2, 4本/0.01m^2)を変え、挿入損失を20〜100kHzにわたり詳細に求めた。挿入損失は周波数の低域では大略ゼロ、中域で負となるが、高域では周波数と共に増大する。この結果は文献1)に報告した実際の植樹帯を用いた実験結果の再現である。中域での負の挿入損失は、模型地表面による過剰減衰が植樹帯の設置により妨げられた結果生じる音の見かけの増幅である。挿入損失は、単位体積当たりの葉面積(葉面積密度)Fと音が通過する植樹体内部での距離Lとの積から成る"葉面積数"FLで整理でき、特に高周波数域ではほとんど樹種に無関係となる。

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© 1993 一般社団法人 日本音響学会
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