日本音響学会誌
Online ISSN : 2432-2040
Print ISSN : 0369-4232
音楽のリズムの知覚と音楽経験
森下 修次
著者情報
ジャーナル フリー

1995 年 51 巻 2 号 p. 96-102

詳細
抄録

音楽経験及び年齢が異なる被験者を対象として、音楽のリズムに関する知覚実験を行った。被験者は音大生、音楽教室に通う小学生、音楽経験のない中学生の3群からなる。音刺激は、音の長さの比率3:2、4:2、5:2、6:2、7:2の5種の単純リズムに、強勢が長い方の音につくリズム、短い方の音につくリズム及び強勢のつかないリズムの、合計15種のリズムパターンであった。被験者にこれら15種のリズムパターンの非類似性判断を行わせた。実験データから各群ごとの平均値を求め、更に多次元尺度構成法を用いて各リズムパターンの心理的な布置を求めた。次いで、33の表現語対を用いて各リズムパターンの心理的印象を調べ、先に求めた心理的布置の意味付けを行った。以上の実験と分析の結果、次のようなことが明らかになった。1)生活年齢より音楽の学習経験がリズムの知覚の優劣に関係している、2)強勢の伴わないリズムでもアクセントが知覚される、3)同一テンポでもリズムの違いにより異なった速度に知覚されることがある、等の結論を得られた。

著者関連情報
© 1995 一般社団法人 日本音響学会
前の記事 次の記事
feedback
Top