琉球方言の声門破裂音/?/の音韻性の要因について検討した。まず、声門破裂音の有(/?/)無(/'/) に関する最小対立語について、ホルマント周波数を比較した。その結果、F_1ローカスの高低により区別できる対立語があることを明らかにした。次に、合成音声の聴取実験により、基本周波数、スペクトル、パワーの各時間パターンの音韻性弁別に対する寄与を比較した。その結果、この順で寄与が大きいこと、及びF_1ローカスでは区別が困難な音節は、基本周波数の時間パターンにより識別されることを明らかにした。最後に、基本周波数パターンの立ち上がり遷移区間長における音韻弁別の域値が、約50msであることを明らかにした。