日本音響学会誌
Online ISSN : 2432-2040
Print ISSN : 0369-4232
救急車の警告音の検知に関する研究
馬場 紘彦江端 正直
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1996 年 52 巻 4 号 p. 244-252

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抄録

本論文は, 一般ドライバの音環境(L_<Aeq>)を調べ, 電子サイレン音の検知レベルを測定し, 運転に向ける注意の効果や, 救急車の接近を予測していないこと等の要因に依る検知レベルの上昇を実験的に求め, 更に救急車の電子サイレン音に気づく距離を推測したものである。得られた結果は以下のとおりである。(1)運転中に聴く音楽のL_<Aeq>の平均値は67.0dBであり, L_<Aeq>が2dB大きくなるごとに約1.0〜1.7dB聞こえ難くなる。(2)車速が10km/h増すごとに, 約0.5dB検知レベルは上昇する。(3)予期時と非予期時との検知率の差は音圧レベルに依り異なる。そして, 検知率が50%付近では, 非予期時の場合は予期時の場合よりいき値が約6dB上昇する。これらのことから, 検知率は救急車の距離が10m遠くなるごとに計算上約13%減少する.

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© 1996 一般社団法人 日本音響学会
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