1996 年 52 巻 4 号 p. 276-280
本論文は, プラスチック超音波溶接における試料の内部損失及び溶接面の摩擦による発熱についての実験結果である。丸棒acrylonitrile butadiene styrene (ABSと略記)樹脂を試料として, 溶接面がないときとあるときの溶接における発熱の違いを調べた。実験は超音波定速度振動帰還発振器を用いた。また, 試料を定速度で駆動させながら, サーモテープで試料の発熱場所と温度の測定を行った。測定結果から, 溶接面の摩擦による発熱は, 内部損失による発熱に比べて大きいことが分かった。また, 溶接面の摩擦による発熱は振動速度の増大と共に増大し, 静圧力の増大と共に減少することが分かった。