1998 年 54 巻 9 号 p. 623-631
規則合成音の自然性向上を目的として, 音源1ピッチの波形形状に着目した手法を提案する。波形の特徴を「パルスらしさ」という尺度で表し, 音源高調波位相を用いて制御する。音源の「パルスらしさ」が変化したときに, 合成音の音色に明かな変化が生じることを聴取実験により確かめた。また, 残差波形を分析して得られる時変の「パルスらしさ」を, フレーム単位で合成波形に反映させる分析合成系を構築した。「パルスらしさ」を再現した分析合成音声は, 位相制御を行わない手法に比べ, 厚みのある自然な音色になることが明らかとなった。更に, 本手法を規則合成に適用することにより, 合成音の音色を改良することができるようになった。