日本音響学会誌
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ピストン音源の近距離場に置かれた平面物体に働く音響放射力
野村 英之鎌倉 友男
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2000 年 56 巻 12 号 p. 805-814

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抄録

本研究の目的は, 空気中に置かれた円板の近距離場音波浮揚に関して理論的に理解することである。ピストン音源-浮揚物体間の空隙内の線形音場に理論解析を限定している。音場についての幾つかの数値例によって, 音源の振動方向に垂直な方向の粒子速度が, 音源の振動速度と比較して1桁大きくなることを示している。空隙間距離Lが粘性環境層の厚さδ_vと同程度のとき, 媒質粘性の音場に与える影響が顕著になる。円板に働く音響放射力を, 空隙内の時間及び空間平均ラグランジュアン密度を計算することで評価している。仮想的に粘性がないとした場合, 放射力はL~2に比例して直線的に減少する。そのような簡単な傾きに対して, 粘性を含めるとLがδ_vと等しくなる位置の前後で放射力は急激に変化する。そして, 線形関係はもはや成立しない。更に, 低周波駆動における, 円板に作用する放射力について理論予測している。空隙間距離が増加するに伴い, 放射力は斥力から引力へと変化する。更に, 高周波駆動での浮揚距離を音源速度の関係として計算している。放射力が弱い場合, 浮揚距離は音源速度に対して非線形的に増加する。しかし, 放射力が強くなると, 従来の理論と同様に, 音源速度に対して直線的に増加する。

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© 2000 一般社団法人 日本音響学会
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