日本音響学会誌
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日本人学生による中国語有気音発話のVOTとパワーによる評価
星野 朱美安田 明生
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2002 年 58 巻 11 号 p. 689-695

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抄録

中国語の「有気音」と「無気音」は調音するときに口の形と舌の位置が非常に近い。特に有気音は日本人学生にとって難しい発話であり,中国語を母語とする教師には無気音に聞こえる。本論文では,唇音の有気音について,中国語話者9名と日本人学生40名の発話を比較することにより,学生の発話の問題点を分析した。更に従来は発話の正確さはVOTの長さにのみ依存するとされていたが,必ずしもすべてがその判定基準に従うものではないことを見出した。そしてVOT中のパワーを解析することにより,その大きさが有気音発話の正確さを決定する要素の一つであることを示すことにより,新たな評価基準の確立を試みた。

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© 2002 一般社団法人 日本音響学会
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