2002 年 58 巻 6 号 p. 346-354
本稿では残響及び騒音を付加した音場において,単語親密度で難易度を統制した単語リストによる単語了解度試験実験を若年者と高齢者を被験者として用いて行い,単語親密度と加齢による聴力損失が単語了解度に及ぼす影響について検討を行った。その結果,室内公共空間の音声伝達性能を単語了解度で評価するためには,単語親密度を統制する必要があること,年齢にかかわらず高親密度となる単語を選定し,安定した評価結果を得られるようにする必要があることを示した。また,若年者と高齢者の単語了解度の差が25%であること,音韻を知覚した後に単語の意味を獲得する過程における加齢による影響は認められないことを示した。