2002 年 58 巻 7 号 p. 386-397
本論文では,男性だけでなく女性や子供の音声でも高精度に音源パラメータ・フォルマントを分析できる方法の確立を目的として,ARX(Autoregressive with exogenous input)モデルと数式音源モデルによって表される音声生成過程に基づいた新しい自動分析法を提案する。本法の特徴は,1)分析窓内に複数のピッチに対応した音源パルスを配し,高ピッチ音声でも安定にフォルマントを推定できること,2)音源特性の影響を受け易い低いフォルマント周波数の推定精度が高いこと,3)音源スペクトル傾斜を考慮したプリフィルタの導入によってモデルの不完全性に伴う誤差の影響を低減したこと,である。