日本音響学会誌
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伝達行列法による多孔板吸音特性の実験的研究
宇津野 秀夫坂谷 亨山口 善三
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2003 年 59 巻 6 号 p. 301-308

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抄録

本研究では,音波に対する多孔板の吸音特性を伝達行列法を用いて実験的に同定し,従来の解析的な研究と比較する。実験では多孔板1(開口径150μm,開口率1%)と多孔板2(開口径2mm,開口率2%)の2種類の多孔板を使用し,伝達行列法で多孔板前側2点と後側2点の音圧を同時測定し,多孔板伝達行列を同定した。吸音率が音圧依存を示す多孔板2では,純音に対して速度2乗形減衰項と同定結果がよく一致した。解析式を用いると多孔板吸音率が計算可能だが,音圧依存性を示す多孔板の帯域雑音の吸音率は,速度2乗形減衰項を粒子速度の実効値で評価する必要があることを示した。

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© 2003 一般社団法人 日本音響学会
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