日本音響学会誌
Online ISSN : 2432-2040
Print ISSN : 0369-4232
不定項を利用した平均サイドローブエネルギー最小ビームフォーミングの実現
中島 弘史
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2006 年 62 巻 10 号 p. 726-737

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抄録

本論文では,線形方程式の不定項を利用してサイドローブのエネルギーが最小となるビームフォーミングを実現する方法を提案する。本手法は,伝達関数を元にビームフォーミング係数を設計するため,反射や回折のある一般の音場で,任意の位置にマイクロホンを配置したアレイで利用できる。ビームフォーミングに関する研究の多くは自由空間内に配置した規則的な形状のアレイを用いているため,反射や回折のある場所や規則的ではない形状のアレイで利用できる手法についての報告例は少ない。しかし実用上は,反射や回折のある場所で利用することや規則的にマイクロホンを配置できない場合もあるために,このような条件でもアレイを利用できることは重要である。本論文でははじめに遅延和ビームフォーミングを反射や回折を含む音場で利用できる形に一般化する。次に線形方程式の不定項を用いて目的方向の利得を1に保ったまま,非目的方向の利得の2乗和を最小にするビームフォーミング係数の設計方法について述べる。この設計法によりビームの指向特性指標を最大化することができる。また,非目的方向を適切に定めることでサイドローブを最小化できる。最後にこれらの特徴を計算機シミュレーションにより検証し,本手法が有効であることを示す。

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© 2006 一般社団法人 日本音響学会
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